リユース店の休業広がる。従業員の安全第一に

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リユース店の休業広がる。従業員の安全第一に

2020年04月28日

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休業の決め手

新型コロナウイルス感染拡大防止に向け全国で緊急事態宣言が発令されたことを受け、リユース市場を取り巻く店舗事業者にも苦渋の決断が強いられた。休業措置が続々と取られている。企業トップらに胸の内を聞いた。

ベストライフ ~怯えながら時短するより一斉休業が良い~

岩本元熙社長岩本 元熙社長

弊社では、関東と関西で15店運営しているブランド買取店「ベストライフ」店舗全てを8日より臨時休業としました。もともと大阪方面の店舗はテナントインが多く、館そのものが閉まってしまったことが原因です。

一方の東京方面はほぼ路面店ですが、関西に比べてコロナ感染者が多く、感染に怯えながら時短で営業するより、一斉に閉めて、一刻も早く終息をさせることが、最も世のためになることと信じ決断いたしました。

臨時休業時の従業員への給与はもちろん全額保証します。財務にたっぷりと余裕があるわけではないのですが、数週間くらい耐えないと。弊社はリーマンショックを経験し、その際に経営がギリギリになりました。非常に苦しい思いでした。幸い、その後は買取が増えてきて、1年かかりましたが黒字化を達成。リーマン時代の教訓でキャッシュフローの見直しを行いました。そのため、今回もなんとかなりそうです。

ワットマン ~危険晒してまで短期利益確保はダメ~

川畑泰史社長川畑 泰史社長

総合リユース店の「ワットマン」では時間を短縮し営業を続けてきましたが、4月いっぱいまで国内50店全店休業を決定しました。従業員の命を危険にさらしながら短期的な目線で利益確保に走ることは、経営陣と従業員とのエンゲージメントを下げ、中期的には企業価値を下げることにつながります。

4月単体の売上は前年比20%程度、営業損失は1億〜1億5000万円となる見込みです。休業中は従業員への給与補償もしていきます。当社では直近3年間の"基盤構築フェーズ"を経て3期連続増益で推移していました。滞留により廃棄に回していたような生活雑貨等でもタイ出店による海外販路の拡大や、商材全体でのEC販売の強化で販管費削減に努めてきました。2020年3月期は売上高営業利益率8.2%以上、営業利益は前年比141%となる見込みです。終息してからは直近3年で行ってきた取り組みのさらなる強化で、損失を取り戻していきます。

デジャヴ ~介護に育児、従業員出社できず一部休店~

大河原勉取締役大河原 勉取締役

当社は神奈川県を中心に婦人向けリサイクルブティック「カトナ」を運営しています。緊急事態宣言を受けて東京と神奈川の全店で従業員から希望があった場合に休暇を認めています。現時点で3名ほどが休暇を取得しており、それに伴って臨時休店となる店舗も出ています。期間は5月6日までを想定しています。

背景の一つには、従業員の要望を受けたことにあります。当社で働く従業員には主婦の方が多く、昨今のコロナの影響で親の介護や子供の面倒を見る必要が生じた者もおり、そこに配慮した対応です。また3月で見ると昨年対比で客足が30〜40%ほど減少しており、人手が必要ないという状況も踏まえています。

ただ運営体制を見直すきっかけとも考えています。3月から時短営業を実施していますが、現時点で収益に目立った影響はなく、事態収束後も時短営業を継続すれば人件費を抑えられるかもしれません。また金プラ買取のチャンスとも思います。

BAZZSTORE ~宣言受け休店、従業員はEC業務専念~

夷英信社長夷 英信社長

当社リンクが都内で運営する古着店「バズストア」は4月8日から5月6日まで全店舗で臨時休業します。4月4日の時点ですでに時短に切り替えておりましたが、政府の宣言と同時に決断しました。リユースショップの中では、最速で臨時休業宣言を出したかと思います。

従業員への対応については現状、正社員は時短勤務をしながらEC業務や宅配買取対応などの一部業務を行い、給与は時短勤務による欠時間含め全額支給します。店舗のパート・アルバイトスタッフは全員に自宅待機を要請。休業手当支給に対応し、雇用調整助成金の適用対応中です。バックオフィス従業員とパート・アルバイトは時短やテレワークを複合し一部業務を行っています。

5月6日以降については対応協議中ですが、全従業員に対して各種個人向け助成金の相談窓口の設置を検討中。政府より支給予定の現金給付に対しての申請方法などのサポートを行う予定です。

第486号(2020/4/25発行)9面

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